「気になる生徒のための支援シート」の活用について

 学校生活の学習指導や生活指導において,「わがまま」「怠け」「粗暴」「だらしない」「やる気がない」などと問題視されてきた生徒の行動の背景には,発達の偏りや過去の辛い体験がある可能性があります。そういった場合は生徒の意識的な努力ではなかなか改善せず,特性に応じた個別の支援を必要とします。そこで,特別支援教育の観点で生徒の行動を見るためのヒントとなるものとして「気になる生徒のための支援シート」を作成しました。これは決して生徒に発達障害のレッテルを貼るものではありません。生徒の抱えている困難さを理解し,支援を進めるためのものとしてご利用ください。

                     〔支援を進めるに当たっての留意事項〕

◎ 生徒の言動の背景を探りながら生徒の気持ちを丁寧に聴き取り,困っていることを把握する 

◎ 保護者と定期的に情報交換する機会をもち,家庭での状況を把握する

◎ 生徒の通っていた中学校に連絡を取り,中学校時代の状況を把握する

◎ 生徒の特性や状況について得た情報を,関係職員と共有する

◎ 生徒が自己の特性について理解が進むように指導に当たる


1「気になる生徒のための支援シート」の構成


「気になる生徒のための支援シート」は生徒の状態像・行動分析・支援例という三つの要素で構成されています。

【1】生徒の状態像

  気になる生徒の状態像にはどのようなものがあるのか,学校生活を「A 教室の場面」「B 学力面」「C 学校生活全般」に分け,よく見かけられると思われる状態像について示したものです。気になる生徒の行動観察を通して,状態像をご確認ください。

【2】行動分析

 ここでは,発達障害などのある子どもたちの行動特性を参考にしたものです。問題となる行動の背景として記述のような苦手さや特性があると思われます。これらの中から原因と考えられるものをご確認ください。

【3】支援例

 ここには,気になる生徒を支援するためのヒントとして様々な支援例が挙げられています。生徒・保護者と一緒に考えながら,具体的な支援を考えてください。

2「気になる生徒のための支援シート」の使用例

 支援の前提として,生徒の状況を把握するために,保護者や関係機関と十分な情報交換を行ってください。

【1】生徒の状態像 忘れ物が多い,宿題をやってくることができない
行動分析の@EFGの項目へ
                              
                            
  
【2】行動分析 @EFGの項目の中で,言動の背景や特性を確認する

                            

【3】支援例 @EFGのそれぞれの支援例の項目を参考に,具体的な支援を考える